双極性障害
(躁うつ病)とは
双極性障害は、気分が高ぶって活動的になりすぎる「躁状態」または「軽躁状態」と、気分が落ち込み意欲が低下する「うつ状態」をくり返す病気です。
そして双極性障害では、気分だけでなく、考え方、行動、睡眠、判断力などにも変化があらわれるのも特徴です。
原因はまだよくわかっていない部分もありますが、脳の機能的異常が原因ではないかと言われています。
遺伝的な要因が比較的大きく関わることが知られており、そこに環境要因やストレスなどが重なって発症すると考えられています。
また、双極性障害は10代後半から20代前半にみられることが多い一方で、ほかの病気や薬剤の影響によって似た症状が起こることもあるため、慎重な見極めが大切です。
なお、双極性障害にはⅠ型とⅡ型があります。
Ⅰ型は、はっきりした躁状態がみられるタイプで、生活への影響が大きく、時に入院治療が必要になることもあります。
Ⅱ型は、顕著な躁状態ではなく「軽躁状態」とうつ状態をくり返すタイプで、一見すると「うつ病が何度も再発している」ように見えることがあります。
このような症状がありましたら、
双極性障害が疑われます
躁状態・軽躁状態でみられる症状
- 気分が高ぶり、開放的になる
- いつも以上に自信が強くなる
- しゃべる量が増え、早口になる
- 次々とアイデアや考えが浮かび、頭の回転が速く感じる
- 活動的になり、じっとしていられない
- 睡眠時間が短くても平気だと感じる
- 衝動的に買い物や投資をしてしまう
- 性的逸脱行為が増える
- 怒りっぽくなり、周囲と衝突しやすくなる
- 無理な計画を立てたり、大きなことができる気がしたりする
など
うつ状態でみられる症状
- 気分が沈み、ゆううつな状態が続く
- 何事にも興味や楽しさを感じにくい
- やる気が出ず、疲れやすい
- 集中できない、考えがまとまらない
- 自分を責めてしまう
- 将来に希望が持てない
- 眠れない、または寝すぎてしまう
- 食欲が落ちる、または増える
- 仕事や家事、学業が手につかない
- 「消えてしまいたい」と感じることがある
など
双極性障害の特徴は、躁状態とうつ状態が交代しながらあらわれることです。
ただし、いつもわかりやすく切り替わるとは限らず、気分が高ぶりながら不安や落ち込みも強い「混合状態」がみられることもあります。
軽躁状態のときはご本人が「調子がよいだけ」と感じ、受診につながりにくい一方、周囲からは「以前より話しすぎる」「怒りっぽい」「浪費が増えた」などの変化として気づかれることがあります。
症状が進行し強くなると、仕事や学業に支障が出たり、家庭生活や人間関係が崩れてしまったり、多額の借金を抱えてしまうなど、社会的に大きな問題を引き起こしてしまう場合もあります。
また、実際にはうつ状態の時期に受診される方が多く、過去の軽躁状態が見逃されると、うつ病と診断されることがあります。
双極性障害では、うつ病とは治療の考え方が異なるため、これまでに気分が高ぶっていた時期や、睡眠が少なくても平気だった時期、行動に活発すぎた時期がなかったかを丁寧に振り返ることがとても大切です。
双極性障害の検査・診断
双極性障害であったものを、うつ病と判断し、うつ病で使用される抗うつ薬を使用してしまうと、躁転(うつ状態から躁状態に転じること)を引き起こす場合や、病状の不安定化を引き起こしてしまう場合があります。
そのため、双極性障害では、うつ病と区別することが重要になります。
とくに双極Ⅱ型障害では、軽躁状態が目立ちにくいため注意が必要で、過去の経過をご本人やご家族に、丁寧に確認しながら診断していきます。
また、双極性障害に似た症状は、甲状腺機能異常などの身体疾患、薬剤の影響、脳の病気、発達特性、統合失調症、パーソナリティ障害などでもみられることがあります。
そのため、診察に加えて、必要に応じて血液検査、甲状腺機能検査、神経学的診察を行い、状況によっては頭部CTやMRI、脳波検査などを検討することがあります。
こうした確認を重ねながら、総合的に診断していきます。
双極性障害の治療
双極性障害は再発しやすい病気ですが、適切な治療を続けることで、気分の波をコントロールしながら安定した生活を目指すことができます。
双極性障害の治療では、主に薬物療法を行います。
中心になるのは「気分安定薬」と呼ばれるお薬で、代表的なものには炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピンなどがあります。
これらは気分の波を穏やかにし、躁状態やうつ状態の再発を防ぐことを目的に使われます。
効果が出てくるまでに時間がかかるため、長く服用を続けていくことになります。
また、症状の時期や強さに応じて、ドーパミンの働きを調整するクエチアピンやアリピプラゾールなどの抗精神病薬を用いることもあります。
薬物治療では、症状が落ち着いたあとも再発予防のために服用を継続することが大切で、お薬は医師と相談しながら慎重に調整していきます。
薬物療法以外では、病気への理解を深める心理教育、生活リズムを整える支援、認知行動療法、家族療法、対人関係・社会リズム療法などが行われます。
とくに双極性障害では、睡眠不足や生活リズムの乱れが再発の引き金になることがあるため、日々の過ごし方を整えることがとても大切です。
薬物療法とあわせて、再発のサインに早めに気づく工夫や、無理をしすぎない生活を一緒に考えていきます。
症状が非常に強い場合や、自殺の危険が高い場合、食事や睡眠がとれない場合などには、入院治療や修正型電気けいれん療法(mECT)が検討されることもあります。